アートアンドアーティスト
冨岡雅寛CHAOS    
Para GLOBE企画展 交 感 文[boon]+冨岡雅寛CHAOS 2002.7.17-30 Para GLOBE
ウェブマシン1梅雨明けの炎天下にギャラリーに向かう。7月20日「海の日」---そこは、「海」であった。
楕円形に青い波打ち際の映像が床面に投影され、床から離れて、アルミ材で作られたウェーブマシン(小さなマストの骨組みの様なものをいくつも繋ぎ、手で動かすとウェーブを描く)が存在する。映像とともに聞こえるは、波の音とイルカの声。癒しの音とも言われるが、炎天下の後に、この空間で一服したならば、海のイマジネーションを充分堪能できる。
彼等は、---自然現象の秘めるスピリチュアルなものとの交感をテーマに映像と来場者が体感することのできる装置との組み合わせにより、フラクタルな空間の現出を試みる。---
ウェブマシン2つまり、この展示に創作ストーリー“Indigo Blue Wave”を元に、光や色、空間、イルカの声、波の音といった手に触れることのできない(インタンジブル)なイメージを文[boon]が担当し、冨岡の作る「カオスモス・ウェーブ・マシンF」と映像、音声の技術を合わせ、結果、その音と色とリズムが人の感性を刺激し、この海底の様な空間を感じることができるのである。
別室、ANNEXにも奇妙なマシーン2台、ベアリングのボールを磁石で動かし、その音を聴診器で聴く・・・金属のざわめきは「海底の音」のように聞こえる。と、手回しドリルの取っ手の様なものを回すと、球体の中の液体が渦をまく、渦発生装置が置いてあり、その周りを昆布模様のシルクスクリーンで飾った・・これも海底を「遊ぶ」感覚の部屋になっていた。
“Indigo Blue Wave”のストーリーを以下に示す。
Indigo Blue Wave
‘Indigo Blue Wave’は、地球における非物質−魂や霊性の世界に入る媒体であり浄化装置でもある。‘Indigo Blue Wave’の中で現出するリズムに意識を合わせると、身体リズムが変容していく。地球のリズムに体が共振するような感覚が訪れ、地球の目に見えない非物質なるもの万有なるものとの交感が始まる。
空間を‘Indigo Blue Wave’の光で満たす。その床に結晶を敷き詰める。この空間では、藍色に染められた連続した波の映像と‘WATER SYMBOL’の映像を床の結晶に投影する。‘WATER SYMBOL’は液体から生まれる複雑な自然現象であり、流れで形態を生成する。この作品で冨岡氏の「カオスモス・ウェーブ・マシンF」を組み合わせる。
私はこのマシンを地球から発せられるものを受信するアンテナであると見立てた。このウェーブマシンの波打つ影と‘Indigo Blue Wave’がゆらぎ、きらめく。

敬称略)
©文[boon], ©冨岡雅寛